フィルム式植物工場などの会社
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宮崎のわそう農園が手掛けているフィルム式トマト植物工場の資材提供を行っているのが、株式会社トーヨーエネルギーファーム


再生可能エネルギーの関連事業を手掛けるトーヨーエネルギーファーム(福島県相馬市、岡田吉充社長)は温暖化に対応した野菜生産システムを開発した。植物工場とビニールハウスを組み合わせ、きめ細かい温度調整を可能にした。暑い夏でも野菜が育ち、生産性は5倍に高まる。気候変動に即した農業生産モデルとして普及を狙う。
同社は建設会社のトーヨー建設(東京・葛飾、岡田吉充社長)のグループ会社として2012年に設立。国内で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の施工や運営を手掛けるほか、インドネシアでは小水力発電所の建設にも着手した。
施工技術やエネルギー効率運用のノウハウを生かし、環境性に強みを持つ野菜生産システム構築に乗り出す。
埼玉県羽生市で新たな農業生産拠点の建設に着手した。7月末に完成する。敷地面積は6520平方メートルで、総投資額は10億円程度を見込む。
ビニールハウスは高さ8メートルで、従来型ハウスの2倍の高さを確保した。屋根の上は日射量を抑える遮光カーテンで覆い、散水装置も設置。夏場に気温が上昇した場合は屋根に散水し、ハウス内の温度上昇を抑える。
ハウス内には7段の多段式栽培設備を設ける。天井から霧が散布可能。空調との併用により、細かく温度調整できる。
また、隣接する研究棟の一部を植物工場とする。植物工場はハウスよりも高度な密閉型設備で、発光ダイオード(LED)照明などを備える。植物工場で野菜の苗を一定の大きさになるまで育て、その後ビニールハウスに移すことで、効率的な生産を可能にした。
従来型ハウスに比べ、栽培日数は2割以上短縮できるという。ハウス栽培の回転率が向上できるため、面積あたりの収量は5倍に高まる。
羽生市では、鉄分が多くてカリウムが少ない「高機能レタス」を生産し、百貨店やスーパーなどに出荷する。高機能レタスはセ氏35度以下で栽培する必要がある。羽生市内では近年、夏場は猛暑でビニールハウス内が42度以上に上昇するため、栽培が難しかった。
新たな農業生産システムは自社での活用に加え、外販も視野に入れている。効率性を売り物に、各地の農家からの建設の受託を狙っている。
トーヨーエネルギーは農業分野を再生エネと並ぶ収益事業に育てていく考えだ。羽生市の施設では年間277万株を収穫し、3億円強の売上高を狙う。このほか、宮崎県では特殊フィルムを使って農薬を使わないトマト栽培を手掛け、百貨店などで販売している実績もある。
地球温暖化の影響を抑える取り組みは「適応」と呼ばれる。昨年発効した温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」は、適応に関わる課題として「天候に左右されにくい農業の確立」を掲げており、今後の成長分野とみられている。



宮崎のわそう農園が手掛けているフィルム式トマト植物工場の資材提供を行っているのが、株式会社トーヨーエネルギーファーム


再生可能エネルギーの関連事業を手掛けるトーヨーエネルギーファーム(福島県相馬市、岡田吉充社長)は温暖化に対応した野菜生産システムを開発した。植物工場とビニールハウスを組み合わせ、きめ細かい温度調整を可能にした。暑い夏でも野菜が育ち、生産性は5倍に高まる。気候変動に即した農業生産モデルとして普及を狙う。
同社は建設会社のトーヨー建設(東京・葛飾、岡田吉充社長)のグループ会社として2012年に設立。国内で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の施工や運営を手掛けるほか、インドネシアでは小水力発電所の建設にも着手した。
施工技術やエネルギー効率運用のノウハウを生かし、環境性に強みを持つ野菜生産システム構築に乗り出す。
埼玉県羽生市で新たな農業生産拠点の建設に着手した。7月末に完成する。敷地面積は6520平方メートルで、総投資額は10億円程度を見込む。
ビニールハウスは高さ8メートルで、従来型ハウスの2倍の高さを確保した。屋根の上は日射量を抑える遮光カーテンで覆い、散水装置も設置。夏場に気温が上昇した場合は屋根に散水し、ハウス内の温度上昇を抑える。
ハウス内には7段の多段式栽培設備を設ける。天井から霧が散布可能。空調との併用により、細かく温度調整できる。
また、隣接する研究棟の一部を植物工場とする。植物工場はハウスよりも高度な密閉型設備で、発光ダイオード(LED)照明などを備える。植物工場で野菜の苗を一定の大きさになるまで育て、その後ビニールハウスに移すことで、効率的な生産を可能にした。
従来型ハウスに比べ、栽培日数は2割以上短縮できるという。ハウス栽培の回転率が向上できるため、面積あたりの収量は5倍に高まる。
羽生市では、鉄分が多くてカリウムが少ない「高機能レタス」を生産し、百貨店やスーパーなどに出荷する。高機能レタスはセ氏35度以下で栽培する必要がある。羽生市内では近年、夏場は猛暑でビニールハウス内が42度以上に上昇するため、栽培が難しかった。
新たな農業生産システムは自社での活用に加え、外販も視野に入れている。効率性を売り物に、各地の農家からの建設の受託を狙っている。
トーヨーエネルギーは農業分野を再生エネと並ぶ収益事業に育てていく考えだ。羽生市の施設では年間277万株を収穫し、3億円強の売上高を狙う。このほか、宮崎県では特殊フィルムを使って農薬を使わないトマト栽培を手掛け、百貨店などで販売している実績もある。
地球温暖化の影響を抑える取り組みは「適応」と呼ばれる。昨年発効した温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」は、適応に関わる課題として「天候に左右されにくい農業の確立」を掲げており、今後の成長分野とみられている。



