観光いちご園インバウンド
4/30 観光いちご園
「台湾で買うと高い日本のイチゴがこんなに安く味わえるなんて」。熊本市中心部から北に約10キロメートルの町外れに位置する観光農園、吉次園。バスから降り立った20人ほどの台湾からのツアー客は、ビニールハウスに入るやいなやイチゴを摘み、次々と口にほおばった。「おいしいし、楽しい」。料金は1人1500円。写真を撮りながら30分ほどかけてイチゴ狩りを楽しんだ。
最初は半信半疑
「本当に訪日外国人(インバウンド)が来るのか、半信半疑だった」と、吉次園の前田大全常務は振り返る。
観光農園としては30年以上の歴史を誇る同社が訪日客受け入れに注力し始めたのは2011年のことだ。地元企業から、台湾の旅行会社が九州の果物に興味を持っていると聞き、九州をバスで旅するツアーのプランにイチゴ狩りやブドウ狩りを盛り込んでもらうよう営業して回った。前田常務は「日本人は土日などに来る場合が多いので、平日の収入が見込める」とメリットを強調する。
急激に増えたのはこの2~3年だという。香港からは、福岡からレンタカーを借りた個人旅行客が増加中だ。「農地の少ない香港では、スーパーや百貨店に並ぶイチゴしか知らない人も多い。畑にイチゴが実っている様子を見るだけでも感動があるようだ」(前田常務)
訪日外国人は年5000~6000人と全体の1割程度だが、2月からシンガポールの旅行会社への営業も開始した。訪日客だけで年1万人まで増やすこともできるとみている。
日本人だけでなく、訪日外国人にとっても、「モノ」から「コト」へ消費の関心が移り始めている。「未知」の体験を提供できれば、交通の便が悪い地域でも活性化のチャンスが広がる。
「おいしいと感じた時の表情が忘れられない」。かつお節の産地、鹿児島県枕崎市の食品会社、中原水産の中原晋司社長は、シンガポールからの顧客が、かつおだしを味わう様子を見て思わず胸が熱くなった。14年のことだ。
国内ではかつお節を削ってだしをとる家庭は少数になった。その問題意識からだしの取り方などを直接教える取り組みをスタートさせたところ、海外から参加したいとの声がかかった。「外国人でも、うま味やだしといった日本食の感覚に抵抗がない」。中原社長は事業になると確信した。

香港・シンガポールを中心に1000人超の訪日客を受け入れた。オーストラリアや米国、フランスからの個人旅行客の受け入れ実績もある。観光とかつお節や加工品販売の相乗効果を狙う。
酒蔵めぐり試飲
九州有数の酒どころとして知られる佐賀県鹿島市では、6つの蔵元が一斉に酒蔵を公開し、酒を飲み比べながら街を散策できる「鹿島酒蔵ツーリズム」を3月に開催している。ツーリズムの推進協議会によると、今年から英語の案内の表示も始めた。
福岡の太宰府天満宮や大分の由布院に比べれば知名度は高くないかもしれないが、徐々に訪日外国人が増えている。蔵元の一つ、幸姫酒造には16年、タイや台湾などアジアを中心に10カ国から見学者が訪れた。
蔵元の峰松酒造場によると、蔵の歴史的な雰囲気を体感でき、日本酒を試飲できるのが好評という。著名な観光地をめぐるだけでは満足のできない訪日外国人が増えているようだ。



「台湾で買うと高い日本のイチゴがこんなに安く味わえるなんて」。熊本市中心部から北に約10キロメートルの町外れに位置する観光農園、吉次園。バスから降り立った20人ほどの台湾からのツアー客は、ビニールハウスに入るやいなやイチゴを摘み、次々と口にほおばった。「おいしいし、楽しい」。料金は1人1500円。写真を撮りながら30分ほどかけてイチゴ狩りを楽しんだ。
最初は半信半疑
「本当に訪日外国人(インバウンド)が来るのか、半信半疑だった」と、吉次園の前田大全常務は振り返る。
観光農園としては30年以上の歴史を誇る同社が訪日客受け入れに注力し始めたのは2011年のことだ。地元企業から、台湾の旅行会社が九州の果物に興味を持っていると聞き、九州をバスで旅するツアーのプランにイチゴ狩りやブドウ狩りを盛り込んでもらうよう営業して回った。前田常務は「日本人は土日などに来る場合が多いので、平日の収入が見込める」とメリットを強調する。
急激に増えたのはこの2~3年だという。香港からは、福岡からレンタカーを借りた個人旅行客が増加中だ。「農地の少ない香港では、スーパーや百貨店に並ぶイチゴしか知らない人も多い。畑にイチゴが実っている様子を見るだけでも感動があるようだ」(前田常務)
訪日外国人は年5000~6000人と全体の1割程度だが、2月からシンガポールの旅行会社への営業も開始した。訪日客だけで年1万人まで増やすこともできるとみている。
日本人だけでなく、訪日外国人にとっても、「モノ」から「コト」へ消費の関心が移り始めている。「未知」の体験を提供できれば、交通の便が悪い地域でも活性化のチャンスが広がる。
「おいしいと感じた時の表情が忘れられない」。かつお節の産地、鹿児島県枕崎市の食品会社、中原水産の中原晋司社長は、シンガポールからの顧客が、かつおだしを味わう様子を見て思わず胸が熱くなった。14年のことだ。
国内ではかつお節を削ってだしをとる家庭は少数になった。その問題意識からだしの取り方などを直接教える取り組みをスタートさせたところ、海外から参加したいとの声がかかった。「外国人でも、うま味やだしといった日本食の感覚に抵抗がない」。中原社長は事業になると確信した。

香港・シンガポールを中心に1000人超の訪日客を受け入れた。オーストラリアや米国、フランスからの個人旅行客の受け入れ実績もある。観光とかつお節や加工品販売の相乗効果を狙う。
酒蔵めぐり試飲
九州有数の酒どころとして知られる佐賀県鹿島市では、6つの蔵元が一斉に酒蔵を公開し、酒を飲み比べながら街を散策できる「鹿島酒蔵ツーリズム」を3月に開催している。ツーリズムの推進協議会によると、今年から英語の案内の表示も始めた。
福岡の太宰府天満宮や大分の由布院に比べれば知名度は高くないかもしれないが、徐々に訪日外国人が増えている。蔵元の一つ、幸姫酒造には16年、タイや台湾などアジアを中心に10カ国から見学者が訪れた。
蔵元の峰松酒造場によると、蔵の歴史的な雰囲気を体感でき、日本酒を試飲できるのが好評という。著名な観光地をめぐるだけでは満足のできない訪日外国人が増えているようだ。



