夏イチゴ栽培の苦労
5/12夏イチゴ栽培の苦労
福岡市の市場にイチゴをおろしていますが、5月に入って、自分達とあと1社になりました。まだ価格は上がっていませんが、和菓子・洋菓子メーカーさんへの販売が多くなりました。
イチゴの供給が止まると、冷蔵ストックしていたものや輸入品に切り替わりますが、新鮮なイチゴの方がいいとのことで、こちらに販売をシフトしていきます。
[農学博士からのアドバイス]
夏イチゴ栽培を挑戦するにあたり、数名の農学博士の指導を受けています。昨年まで3年小規模の実証栽培を行い、今年から本格的に夏イチゴの栽培に挑戦しています。5月ここからが正念場です。日中最高温度が30℃近くになることもある季節です。30℃を超えると花芽が途切れてしまうリスクがあります。そこで、実証栽培を指導している先生からのアドバイスをいただいています。
・植物工場では、環境制御することで、長期栽培が可能だが、一般栽培では、ハード(機械装置)とソフト技術の組合せが必要だ。
(1)肥料設計を変更すること(ソフト=栽培技術)
生育適温を近くの温度になると、植物も食べるものも変わってくる。特にミネラル成分の一部は生育阻害要因となるので、抜かないといけない。(ある都市の農業試験場で実証済)基本の施肥設計は冬用のものなので、少し変化したほうが良い。
・花芽の状態を見て、窒素肥料を減らし、樹勢が回復したら元に戻す
窒素は葉っぱを茂らせる→栄養成長に走り、葉茎の成長にエネルギーが集中すると実がつかなくなる。それと寒暖の差がなくなり高温栽培になると実がつかなくなる。
・ミネラル(微量成分)の配合を変えること。
一部の成分は、夏の栽培では阻害要因となるので、変更が必要。
(2)ハードの運用
・ヒートポンプによる冷却・・・ハウス温度を下げる。(施設によっては、不要のところもある)
・冷水を流す。・・・根元の温度上昇を抑える。
・遮光ネットをかける・・・必ずハウスの上(外側)にすること、ハウスの内側設置が容易だが、逆に温度があがるので、NG。
(3)作業員の健康維持
ハウス栽培では、夏の暑さは過酷であるので、早朝・夜明け前の作業などフレックス・タイムの作業を行う。
(4)病気の発生が多くなる。
イチゴの適温はせいぜい27℃あたり(品種により差異あり)だが、夏の暑さでは、樹勢が弱り病気にかかりやすくなる。特に乾燥と湿度アップの繰り返しがあると最悪の病気「炭疽病」が発生しやしくなる。発生すると除去しかない。
(特別に生育活性処置により、炭疽病などの病原菌があっても病気が発生しない方法が開発されているが、専門の指導が必要である)
など、詳しい指導をいただき、今週天然資材散布を行い、生育活性化を図っております。
画像①窒素12 リン酸20 カリ20 の肥料です。 窒素を減らした肥料と併用しています。