環境発電・小型水素発電



6/28日経産業新聞より 記事2つ
(1)小型水素発電が、農業で注目
5月末に千葉市の幕張メッセで開かれた「第6回エネルギー・ハーベスティング技術展」でひときわ人気を集めたブースがあった。
「エレクトレット環境発電アライアンス」と記された看板の下でオムロン技術開発部の積知範氏は小さな素子を手に取り「ボタン電池と大きさは同じ。振動で発電するので電池交換は必要ありません」と説明した。
集まった人たちからは「周波数はどのくらいまで対応できるのか」「価格はいくらか」といった質問が寄せられた。
環境発電への関心が高まっている背景には、IoTがある。インフラ施設や生産設備などにセンサーを付け、その状況をネットで発信すれば、管理コストは削減できる。環境発電はセンサーを動かす電源になり得る。
オムロンや旭硝子とともにアライアンスに参加する東京大学の鈴木雄二教授は「配線ができなかったり、電池交換に行けなかったりするような場所で使ってこそ環境発電に意味がある」と話す。
ブースの看板にあった「エレクトレット」は電気を帯びる性質を持った誘導体を指す。素材となる樹脂は旭硝子が開発した。アライアンスはエレクトレットによる環境発電技術を研究している。
従来の環境発電では、コイルと磁石を使う。振動で磁石が動いたときにコイルとの間で生じる電磁誘導で電気が起きる。
オムロンなどが開発した環境発電では、エレクトレットと金属板を使う。両者を平行に配置し、振動で金属板が左右にずれるようにする。ずれたときに金属から電気が流れる。(イラスト参照)コイルと磁石を使った従来のものより、小型・軽量にできる。
オムロンの積氏は「スマートフォンに鍛えられた」と振り返る。部品・部材の軽量・小型化はスマホ向けでは必須の課題だからだ。少ない電力でセンサーを動かす技術もスマホ向けを応用した。
別のブースでは、エンジンの稼働状況を信号にして管理者に送る装置が展示されており、デモンストレーションも行われていた。
エンジンが急停止したり、振動が不規則になったりすると、信号が止まり、管理者に異変を知らせる。デモを企画したスター精密の加藤貴春R&Dセンター副主事は「省エネ技術が進み、新しいことができるようになった」と語る。
環境発電を利用したセンサーをIoTで利用する試みも広がっている。
竹中工務店はビル空調のダクトに取り付けて空調をモニターするシステムを開発した。協和エクシオは農業のモニタリングでの活用を進める。独化学品大手の日本法人BASFジャパン(東京・港)は工場内の状態を環境発電を使って管理する実証実験に取り組んでいる。大津武嗣副社長は「機械などが故障などで止まってしまう前に発見できれば」と語る。
オムロンはアライアンスの成果をもとにした環境発電素子のサンプル出荷を始めている。価格は数千円。従来型製品の10倍近くする。コストダウンが課題だ。
オムロンはスマホの補助電源としての活用も目指している。歩くときの振動で主要電源である電池を充電するという発想だ。電池切れの心配がなくなり、災害時でも安心だ。大量生産によるコストダウン効果も期待できる。(小河愛実、奥津茜)
(2)省エネハウス
