遠山正瑛博士の偉業
11/16 今週初めのNHKの朝のニュースからの話題ですが、今週、この話題で鳥取大学、九州大学の教授、名誉教授とご一緒する機会があり、盛り上がりました。
自分は福岡に住んでおりますので、九州大学の方が身近なのですが、九州大学で20数年前、砂地農業の学科が今後必要になると担当教授を探していた時、応じてくれたのが鳥取大学だよとのお話から始まり、砂漠農業で世界的に評価が高い遠山正瑛博士(1906-2004)が再び評価され、その意志をついだ教授方々が、世界の多方面で活躍され、国連の事業にも協力しているんだよとのことです。
山正瑛博士の銅像 アジアのノーベル賞といわれるマグサイサイ賞を受賞息子さん(遠山柾雄 鳥取大学 教授)も、その意思を受け継ぎ、アフリカ・ザンビアで緑化活動をされています。
(雑談・知識1)大学でランク(地位)と言ったら失礼ですが、低いのが農学部、役所では農林水産省といわれています。
(雑談・知識2・・・近年農学部の人気が高まる)数年前までの日本の農学部の中心にあるのが肥料学だそうです。如何に、肥料を効率よく必要な時期に、どう与え、収量を上げるかの学問だったとのことで、いまでも続いている。それから栽培施設を整備した環境制御技術、いまはスマート農業など研究の枝が伸びているのだが、基本は、「植物を、肥料・農薬が基本、次は優秀な品種の開発、発展して遺伝子組み換え、ゲノム編集などの研究が盛んだった」ところが最近は、工学部系の人材が入ってきて、植物生命学、遺伝子工学、微生物学などが盛んになってきている。また、大学の学部でも新しい学部が増え、民間大学でも農学部を増設するところが出てきている。
中国での植林の様子
話がそれましたが、遠山正瑛博士は、1971年に退官し、翌年から資材を投げ売って、中国の砂漠の緑化活動を、さまざまな障害を乗り越えて、成功された方です。遠山博士がすごいのは、中国で生きている人物の銅像がつくられたのは、2人の人物だけで、毛沢東と遠山博士だけとのことです。
遠山博士は、「死の土地といわれる広大な砂漠地帯」で砂漠の植林を手掛けていますが、近隣の住民からよそ者・スパイ扱いされ、植林後、ヤギを放牧してすべて食べられたり、再び植林すると洪水で流されたりと、苦労を重ねましたが、徐々に近隣住民から信頼されるようになり、その人たちの協力もあり、2万ヘクタールの緑の森と農地化にも成功しました。(台湾の烏山頭ダムによる灌漑で農業地帯を作った八田與一氏[1886-1942]と並び称せられるとの偉業が重なる。)
ボランティア活動にも厳しかった遠山博士 スコップを引きずったりした厳しく注意指導も・・スコップが削れると、土を掘る容量が減るんだ。
今、世界の人口は100年前で20億人、1960年30万人、2000年60万人、2022年で80万人となっています。飢餓人口は約8億人と言われています。世界の農地は、多くが肥料過多による土壌障害で生産性が落ちています。これの対応策で、遺伝子組み換え、ゲノム編集などでの新品種の開発、その繰り返しです。今、農業界で注目されているのは、植物を物理的に如何に多収穫を実現するかから、植物を、自然界で存在する環境や生物を組合せて、その能力を向上される試みが注目されています。一番積極的なのが、中東アラブのお金持ちの国、インドなどですが、その技術があるのが日本とのことです。その一つが砂漠・砂地農業、教授方のお話では、遠山正瑛博士や遠山柾雄が砂漠でメロンなど果実や野菜を栽培できるようになった技術。それと、植物の生育をつかさどる植物ホルモンおよびその体内製造を刺激したり、直接与える働きのある微生物の活動など、植物と自然界の生物能力を活用した生物学などのようです。これらの分野では農学ではなく、医学、生物学、化学、遺伝子工学などです。
現在、遠山博士の研究は、息子の遠山柾雄博士が世界中の砂漠農業を実証研究されたり、鳥取大学出身の先生方が、砂漠農業を中心に活躍されています。特にその愛弟子であった私の知り合いの現在名誉教授の先生は、遠山正瑛博士の砂漠の偉業を受け継いだことで恩恵をあずかり、昨年国連の食糧問題を解決する活動を依頼され、動かれています。近々報道があるかもしれないとのことです。
食糧増産の道は、
①農地の化学肥料過多による土壌汚染の解決
②砂漠でのさ靴栽培
③数れた品種の開発
と資源循環のようです。