バイオマス植物開発
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農研機構(のうけんきこう)は、我が国の農業と食品産業の発展のため、基礎から応用まで幅広い分野で研究開発を行う機関です。職員3,300人 年間予算718億円(国からの交付金が656億円)で、政府の機関として発足した国内最大の研究機関です。
ここでは定期的に研究発表を行っています。今月22日の発表では、バイオマス植物として有用なオギススキ新品種の開発がありました。
〇オギススキとは、「荻(おぎ)」と「薄(すすき)」の自然交配雑種で、不稔性(種子ができないこと)のため、株分けで増やす植物です。オギススキは多年草であるため、一度植えると毎年収穫できます。成分では、有用化学物質抽出やパルプ製造の原料として利用され、畜産では敷料や畜糞堆肥の原料となります。農研機構では、「バイオマス利用(カーボンニュートラル)」「糖、シリカ(ケイ酸、酸化シリコン)」「耕作放棄地での利用」「畜産利用(飼料、敷料、堆肥原料)」「キノコ菌床利用」での利用があり、拡大が期待されています。
(注釈)
・シリカはイネ科の植物の免疫力を上げ、病害虫からの耐性向上に役立ちます。
・キノコ栽培では、培地にすると、子実体(傘の部分)のサイズ拡大になり、木材チップの代用となります。
・オギススキは、降雪による倒伏性は弱いため、北海道での越年はできないようです。
下図は、既存品種と農研機構が開発した品種とのことです。(2年目)特徴としては、株の広がりが2倍程度早いことのようです。そして多収穫とのことです。株の広がりが早いため、既存品種より1/4本の植え付けでいいようです。
〇バイオマス発電の木質不足で、現在燃料の1/2以上を海外からの木材および有機物に頼っていますが、耕作放棄地でオギススキの活用は、「畜産」「キノコ」「電力」に直接貢献できることで、耕作放棄地での利用が期待されています。