汚泥再生肥料の普及は進むか?
・構成員は学識経験者、下水汚泥の肥料利用に取り組む地方自治体、JA全中・全農など農業団体と肥料メーカー、下水道事業関係者などとのことです。
[汚泥からの肥料成分は]
・下水汚泥には年間リン需要量(約30万t)に対して約5万tが含まれており、下水汚泥ポテンシャルを活用した肥料利用は農林水産業の持続性に貢献する。下水汚泥を肥料として利用するには、脱水汚泥をコンポスト化する方法や、一部自治体では汚泥処理の際にリンを回収しているが、施設のコストが高い。汚泥の焼却灰を肥料として利用する技術もあるが、現在は焼却灰は多くは埋め立て・建設資材に利用されており、下水汚泥の肥料利用は1割にとどまっている。
[みどり戦略と肥料]
一方、農水省はみどり戦略のなかで「2050年までに輸入燃料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減する」との目標を掲げている。さらに9月に閣議決定された新たなバイオマス活用推進基本計画では、下水汚泥中の有機物をエネルギーや緑地などに利用する割合を「下水道バイオマスリサイクル率」として追加し、現在の約35%を2030年には約50%とする目標を掲げた。
[実行例]
全国で下水道汚泥からの肥料再生は少しずつ行われていますが、利用は多くは進んでいません。
石川県珠洲市・金沢市、横浜市、和歌山県みなべ市、佐賀市、神戸市、などで汚泥再生肥料が作られています。価格は一般肥料の1/10~1/3あたりとのことです。しかし、大型農家などでは、まだ利用されていないようです。
[課題]
自分の、農業法人さんや大型農家の知り合いに聞いてみました。
「まず、消費者がどう見るかだろう。汚泥肥料も受け入れられるなら考える」
「肥料成分で、余計なものが入る可能性が否定できないだろう。金属成分、薬などの化学成分が、安全に除去されているか不安だ。このあたり、購入する側がどう思うか、野菜価格が若干安くなるのでそれでいいか、安全性をどう評価するか分からない」
「鶏糞、畜糞など、成分がわかっているものは使うが、汚泥はすぐは利用できない。製造者責任を問われることになるのが怖い」
などの回答がほとんどで、安いのはいいが、責任問題があるので、ほとんど様子見されるそうです。