白いキクラゲ売り方!
10/24
白いキクラゲ=アラゲキクラゲのアルビノですが、種は開発されています。栽培もされています。
自分も、仲間も栽培してみましたが、売れ行きがすこぶる悪いので、どこもわずかしか生産していません。
売れない理由は、真っ白ではなくくすんだ白色で、日光や蛍光灯の光をあてると、少しずつく濁ってくるので、おいしそうに見えないのではとの意見でした。
今週の日経新聞を眺めていると、白いキクラゲの記事がありました。
こういう売り方もあるのかと新鮮に感じましたので、記事を紹介します。
愛知県新城市の観光スポットで、岩肌が露出した美しい姿で知られる鳳来寺山。そのふもとの自然に囲まれた一角に「鳳来寺山麓きのこ園」はある。
外光を遮断した栽培ハウスに入ると、金属製の棚にキクラゲの菌床がびっしりと並んでいた。間近に見ると、色が一般のものとは違うことに気づく。黒褐色ではなく、白いのだ。農園はこれを「鳳来きくらげ」のブランド名で販売している。
■陽光がなくても育つ
販路は地元の農協の直売所や道の駅、スーパーなど。ビビッドガーデン(東京・港)が運営する産直サイト「食べチョク」でも販売している。
農園は2017年にオープンした。代表の中田靖人さんが、もともと家庭菜園などに使っていた土地だ。農園を開く際に考慮したのは、山あいにあるために日が十分に当たりにくく、野菜を本格的に育てるのには向いていない点だった。陽光がなくても育つキノコを選んだのはそのためだ。
ふつうなら栽培方法が確立しており、消費者が食べ方に迷うこともないシイタケをつくるかもしれない。周囲はシイタケの栽培が盛んな地域でもある。だが中田さんはキノコの栽培を始めるにあたり、「シイタケではあまりに平凡。変わったものをつくりたい」と考えた。ほかの農場と差別化するためだ。
続いて2021年から挑戦し始めたのが、白いキクラゲだ。本来なら黒褐色のアラゲキクラゲの突然変異種で、松きのこと同様、まだあまり普及していない。栽培を始める際、中田さんはやはりそこに注目した。
■食べ方を迷う食材
見た目のインパクトの強さは、売り場で客を引きつけるのに十分だ。問題は松きのこ以上に「どう食べたらいいか」を消費者が迷う点にあった。ふつうのキクラゲと同じで、中華料理の食材に使うことはできる。実際、中田さんの育てた白いキクラゲをメニューに取り入れている中華料理店もある。
それでも中田さんは「もう少し工夫できないか」と考えた。せっかく珍しい品種を扱うのなら、めったにない食べ方を提案してみたいと思ったのだ。着目したのは味がほとんどなく、ゆでるとモチモチの食感になる点だ。
そこで夏ごろからホームページでアピールし始めたのが、スイーツ風の食べ方だ。鍋で沸騰させてから、かき氷のシロップをかけると、赤や青、緑などの鮮やかな色に染まり、ぱっと見にはキクラゲとは思えない一品になる。黒蜜ときな粉をかけて、わらび餅のように食べても楽しい。
■バリエーションは自在に
様々な食材とあわせ、バリエーションを自在に広げることができるのは、白いキクラゲそのものにはっきりとした味がないからだ。このほか、キムチに入れてもよくなじむ。ポン酢とワサビで食べてもおいしいという。
農業を新たに始める際、食卓にふつうに並んでいる品目を育てるのか、一般には流通していないものを栽培するのかで戦略が分かれる。
食卓で定番の品目は消費者に手にとってもらいやすいが、価格競争にさらされているので、効率的に生産することが必要になる。珍しい品目も効率化すべきなのは当然だが、そのうえで食べ方を知ってもらう努力が要る。
白いキクラゲは後者の典型的なケースだろう。中田さんは「料理方法を常に考えている」という。農業には作物を育てることじたいに喜びがあるが、メニューに思いを巡らせば楽しみはさらに増す。それが新たな市場をつくる。