バイオマス発電の展望
バイオマス発電は、北海道から沖縄県まで全国で設置され稼働しています。(大都市部では、ごく小規模なものも含んでいますが)
最近では、新規稼稼働の報道もありますが、採算が合わず撤退する計画もあいついでいます。
私の知り合いも、バイオマス発電を計画しており、相談を受けています。発電事業者は大手で積極的とのことです。6~7年前に、最初のバイオマス発電のブームがあり、全国の自治体が、バイオマス発電もしくは太陽光発電の事業の取り組みが相次いでいました。
その時、ある自治体の要請で、先行しているバイオマス発電所を視察に行きました。
稼働して1年経っていましたが、そのときは燃やすものがなく、中断していました。
理由は、木材チップが近隣で枯渇しているとのことでした。その時期は、畜産県での木材チップ需要が、折しも和牛ブームで到来し、木材チップが和牛農家向けに流れてしまったり、間伐材がなくなる時期は資材がないようでした。
2021年1月25日の欧州委員会の調査報告では、バイオマスは環境貢献度が低いと結論づけられました。(合同調査センターの要約文を、解説・抜粋)
・・・・このレポートの最大のポイントは、森林バイオマスを燃料として使用する過程24パターンにおける影響についてまとめている部分にある。レポートによると、このうち23パターンでは、森林バイオマスは化石燃料よりも二酸化炭素(以下、CO₂)を多く発生させるか、あるいは環境破壊のリスクがある、というのである。
要約すると、収穫残渣の小枝や葉を一定の条件で利用する場合に限り、環境影響がなく短期的にではあるがカーボンニュートラルになるとしている。ただし、それでも10年~最大20年間は、化石燃料とCO₂の発生量が同等か、増える可能性があるという。その他の23パターンでは、その全てにおいて化石燃料よりもCO₂のネット排出量が短期、中期、あるいは長期的に増えるか、生物多様性と環境破壊のリスクがある、とされている。特に、自然林の伐採に続く植林による再生林バイオマスの場合、4パターンあるうち全てにおいて、長期的にも化石燃料よりCO₂の発生量は増え、環境破壊リスクが非常に高いとしている。
[画像①鹿児島県のバイオマス発電」
[画像②」導入木材のグラフ
(このうち、一般木材および食物残さの割合は毎年増えており、2008年の30%から現在60%ほどとなっております。)
また、その木材の家輸入材が増加しており、この5年間で9倍となっております。
実業家の知人には、バイオガス発電を調査するように勧めました。ただし、こちらは、臭害の対策が必要ですが、売電価格は、買取制度の中でも、上位です。