みどりの食料システム戦略/農水省
8/19 みどりの食料システム戦略/農水省
同制度の認定農家認証の予定
我が国の食料・農林水産業は、大規模自然災害・地球温暖化、生産者の減少等の生産基盤の脆弱化・地域コミュニティの衰退、新型コロナを契機とした生産・消費の変化などの政策課題に直面しており、将来にわたって食料の安定供給を図るためには、災害や温暖化に強く、生産者の減少やポストコロナも見据えた農林水産行政を推進していく必要があります。 このような中、健康な食生活や持続的な生産・消費の活発化やESG投資市場の拡大に加え、諸外国でも環境や健康に関する戦略を策定するなどの動きが見られます。今後、このようなSDGsや環境を重視する国内外の動きが加速していくと見込まれる中、我が国の食料・農林水産業においてもこれらに的確に対応し、持続可能な食料システムを構築することが急務となっています。 このため、農林水産省では、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を策定しました。
農水省は、農業の環境負荷低減に向けた政策方針「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、新法を制定する方針を固めた。同戦略で掲げた化学農薬・肥料の削減、有機農業の拡大などに取り組む農家や地域を認定し、税制・投融資などで設備投資を支援。補助金などの対象にもして、取り組みやすくする。2022年度予算概算要求に、技術の実証やモデル産地づくりなど新たな対策も盛り込む。
法案は来年の通常国会への提出を検討する。同戦略の法制化は野上浩太郎農相が6月に検討を指示。農業の環境負荷低減に向けては「エコファーマー」の認定・支援を定める持続農業法など既存の法律もある。だが戦略は50年までの中長期的なもので、推進に向けて継続・安定的な支援を担保するためには新法が不可欠と判断した。
同戦略は、有機農業の拡大や化学農薬・肥料の削減、農林水産業の二酸化炭素排出量の実質ゼロ化などの目標を掲げる。新法は戦略の基本理念を恒久的に法律に位置付ける他、実現に向けた国の基本方針や、都道府県・市町村が地域の実情に応じた取り組みの基本計画を共同で作ることを想定する。
農家や地域はこれに沿って取り組み方針を提出し、県・市町村が認定すれば、税制や投融資による支援が受けられるようにする。高額な設備投資の負担の緩和が狙い。認定した農家や地域は補助金などの支援策の対象にもする方針だ。技術の研究開発などに取り組む事業者も国が認定し、同様に支援する。
同省は22年度予算の概算要求でも、同戦略の実現に向けた政策を柱とし、支援策を充実する。環境負荷の低減に向けた技術を導入する農家などを対象に「みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業」を新設。スマート技術やペレット堆肥の広域流通といった技術を実証する。
実現には地域単位での取り組みが重要とみて、モデル地域づくりに向けた「みどりの食料システム戦略推進交付金」も新設する。土づくりや栽培暦の見直し、有機農業の団地化や学校給食での利用・販路拡大、再生可能エネルギーの導入、燃油使用ゼロに向けた施設園芸産地の育成など、地域のビジョンや計画に基づく取り組みを幅広く対象とする。
強い農業づくり総合支援交付金など既存事業の中でも、同戦略に基づく取り組みを支援する。予算額はいずれも今後詰める