肥料過多と植物生理
11/2 植物生理の学習
現代の肥料学の限界?
植物は、有機肥料、化学肥料にかかわらず、無機質の養分を吸い上げ、成長します。
自然の中では、ゆっくり養分を吸うので、植物の機能が、「根」「茎」「葉」「花」「実」に栄養を送り込みます。これを司るのが、植物ホルモンです。サイトカインやオーキシンといった少ない植物ホルモンを有効に使って、これを司令塔に、栄養を振り分けます。
植物生理は、発根・根成長「栄養吸収」、茎・葉成長「栄養成長」、光合成「代謝、化学物質をアミノ酸に変換」花実形成「生殖もしくは老化」に分けられます。
(1)自然で得られる栄養ではなく、即効性のある化学肥料を多く与えたらどうなるでしょう?
①植物は、吸収しやすい無機質の栄養をどんどん吸い上げます。
②吸い上げた養分は、各部位に送り込みますが、司令塔の植物ホルモンを使いすぎることになり、植物ホルモンが勤続疲労(一時的に枯渇)します。植物ホルモンは、約20日でなくなるといわれ、亡くなったら植物体内でまた作り出します。この司令塔不在の間に吸い上げた養分は、代謝できずに植物体内に残ります。これが窒素過多といわれる、黒ずんだ植物の原因です。
③植物の司令塔は、植物ホルモンです。これがないと、植物は各部位が勝手に活動します。根は栄養を吸い、葉は光合成しますが、関連性がない状態です。一方生殖活動(実をつける行動)は行いません。生殖活動は、老化ホルモンが担当します。栄養成長を司るホルモンが老化ホルモンに切り替わり、あるいは共存した状態で、植物は実を着けます。(トマトなど実が多くなるものは、ホルモンの共存)
④植物ホルモンは、各部位をコントロールする役目があります。
・サイトカイニンは、発芽発根、根の成長促進、細胞分裂促進によりカルス(未分化細胞)の発生を促す。
・オーキシンは、細胞伸長、発根、果実の肥大成長
このほかにも、ジベレリン、エチレン、アブシシン酸などがあります。
これら植物ホルモンが、各部位の成長を制御することで、植物は生育します。
●残念ながら、肥料を多く与えたら、植物栄養成長に走り、栄養を代謝できずに、窒素過多になり、花芽がつきません。
●また、土壌は未消化の窒素など肥料成分が残留し、土壌障害を起こします。
◎これを解決するには、植物の生育スタイルに施肥設計をあわせるか(有機栽培などのように)、植物の生育を司る司令塔の交代要員を送り込み、生育および代謝を継続させるしかありません。