農林中金がコンビニ出資
7/31 農林中金がコンビニ出資
農林中金の純資産は7.4超円(中金の貸借対照表より)ですが、ハイリスクの金融商品を43兆円ほど運用しているウォール街で有名なファンドです。毎年運用益の一部をJAに還元していますが、農業への融資は、わずか0.1%です。小泉進次郎氏が農水大臣の時に、農林中金不要論の発言もあった銀行です。農家のお金をJAバンクを通じ、ここに集めて運用しています。
ここが最近、農業融資を増やしております。私の知り合いの事業者もかなりの融資を締結しました。
今度は伊藤忠商事系のファミマに融資のニュースが本日の日経新聞に掲載されています。
ただし、大手流通対象で、高齢化が進む農家には目が向いていませんが・・・・
農林中央金庫が全国農業協同組合連合会(JA全農)と共同で、大手コンビニエンスストアのファミリーマートに約570億円を出資することを決めた。全国のファミマ店頭でJAグループの農産物を販売する狙い。農家への融資だけでなく投資によって販路拡大を支援し、農業を強くする金融機関としての機能を強める。
農林中金とJA全農は伊藤忠商事がTOB(株式公開買い付け)を通じてファミマを完全子会社化した後で、4・9%分の株式を譲り受ける。
資本提携後、JAグループは全国のファミマの店舗を通じて地元の農産物を販売する。コンビニで扱う弁当や総菜などに使う食材も、輸入品から段階的にJAが提供する国産に切り替える。
「お母さん食堂」などのプライベートブランドの新商品も共同で開発する。消費者に密着したコンビニで日本の農産品の新鮮さや安全性を打ち出すことで販路を広げ、農産品の価値を高める戦略だ。JAが持つ地方の店舗や直売所ではファミマの商品を扱い、顧客の裾野を広げる。
農林中金は農家などからの預金を運用し、農協組織を金融面で後押しすることを主な業務としてきた。海外の高利回りの社債やローン担保証券(CLO)への投資で収益を得て、毎年3000億円強を「奨励金」としてJAに還元してきた。
ところが2015年に本格化した政府の農協改革で農林中金は農業融資の少なさを指摘され、「不要論」を突きつけられた。資金運用だけでは不十分との批判を受け、農林中金は数値目標を設けて農業融資を増やしてきた経緯がある。
ファミマへの出資はJAグループの農産物を消費者に売る「出口」を増やすために金融を使う点で大きな転機といえる。
農林中金などJAバンクグループの農業融資の20年3月期の新規実行額は4122億円と、16年3月期に比べて54%増えた。ただ足元では政府系金融機関である日本政策金融公庫との低利融資合戦に陥っている。日本公庫は実質無利子の制度融資で農家への融資攻勢をかけ、19年3月時点での農業融資でのシェアは30%と12年に比べて約10ポイント上がった。
JAバンクも18年度から農家が払う保証料を肩代わりする仕組みを始め、農家の負担を軽くしてきたが、過度な融資競争は農家の生産性向上の意欲をそぐ懸念がある。高齢化が進むなかで融資を大幅に伸ばすことは「限界がある」(関係者)との声も上がっていた。
その点、出資を通じて農産物の販路を強くする投資には「農業のための金融」を実現できる可能性が大きい。日本の農林水産業の売上高は約10兆円。これが食材の「出口」である加工・流通・外食の段階では約80兆円に上る。農産物の付加価値を上げて販売することができれば、農業者の利益につながる。
政府が2日に開いた規制改革推進会議ではJAバンクの農業融資の残高が貸し出しの5%にとどまると指摘され、「資金を農業者のために還流するメカニズムが必要」とくぎを刺された。
コンビニとの提携はこうした「農業のための金融」を模索する農林中金にとって新たな一歩となる。今後は今回の出資を実際に農産物の販売増加につなげるとともに、新たな出資先も掘り起こすことが課題になりそうだ。