乾燥野菜
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木原製作所(山口市)は1902年創業の老舗企業。葉タバコ乾燥機のトップメーカーとして培った湿度制御の技術を強みに今世紀、食品加工分野に進出した。乾燥野菜やドライフルーツの生産者向けに食品乾燥機を製造販売し、海外市場の開拓にも乗り出している。
切り干し大根の生産量日本一の宮崎県。天日干しの良さをPRしてきたが、冬の天候に左右されることや農家の高齢化、衛生基準の厳格化などを考慮し、機械乾燥を取り入れる動きが出てきた。JA宮崎経済連の全額出資会社は木原製作所の乾燥機を導入し、12月に収穫する大根から一部、機械乾燥に移行する。
一方、消費者の嗜好の変化もあって近年販売が増えたのが、茨城県名産の干しイモ生産者向けの乾燥機だ。以前の干しイモは天日干しで時間をかけて乾燥させ、表面に糖分の白い粉を吹いていたが、黄金色のイモに嗜好が移り、乾燥の速い機械の導入が広がった。
乾燥食品を取り巻く環境変化をうまく捉えて販売を伸ばしている背景には、葉タバコ乾燥機で培った技術力や産地に密着した全国12カ所の営業所ネットワークがある。
「水分の多い果物は、従来の食品乾燥機では縮んで焦げたり茶色に変色したりしやすく、きれいに乾燥させるのが難しかった。木原製作所の乾燥機は形や色を保ったまま乾燥させられる」。食品加工を研究する広島県食品工業技術センターの担当者はこう指摘する。
同社の乾燥機の特徴は「温度だけでなく、湿度も制御しながら乾燥させること」(木原利昌専務)だ。熱風で一気に乾燥させると、素材の表面は乾いても内部の水分は残ったまま。内部の水分が抜けるころには表面が乾きすぎて商品価値を失ってしまう。表面と内部がバランス良く乾燥するためには、機内の湿度もコントロールしながら乾燥させる必要がある。
木原製作所はこの技術を日本専売公社(現日本たばこ産業)との共同研究で獲得し、葉タバコ乾燥機で実用化していた。
この技術を食品分野で最初に応用したのが2006年に開発したシイタケ乾燥機だ。機内の湿度を維持するため、シイタケに当てた温風を従来機のようにすべて排出するのではなく、一部を循環させた。その結果、燃費が70%も向上したほか、温湿度の調整を自動にしたことで農家の負担が大幅に軽減され、大ヒット商品になった。
現在の売上高は、多様な食品乾燥機、葉タバコ乾燥機、その他の機器がそれぞれ3分の1を占める。全国各地で食品乾燥機の需要発掘に力を注ぐ一方、海外市場の開拓にも取り組んでおり、今後は「売上高の10%を海外から獲得するのが目標」(木原康博社長)だ。
海外は今年、タイの企業、さらにロシア南部のクラスノダール地方の企業とそれぞれ代理店契約を結んだ。木原社長は「当社の製品で乾燥させたサンプルは、現地の乾燥物とは色などの仕上がりが全く違い訴求力がある」と今後の販売に自信を見せる。
切り干し大根の生産量日本一の宮崎県。天日干しの良さをPRしてきたが、冬の天候に左右されることや農家の高齢化、衛生基準の厳格化などを考慮し、機械乾燥を取り入れる動きが出てきた。JA宮崎経済連の全額出資会社は木原製作所の乾燥機を導入し、12月に収穫する大根から一部、機械乾燥に移行する。
一方、消費者の嗜好の変化もあって近年販売が増えたのが、茨城県名産の干しイモ生産者向けの乾燥機だ。以前の干しイモは天日干しで時間をかけて乾燥させ、表面に糖分の白い粉を吹いていたが、黄金色のイモに嗜好が移り、乾燥の速い機械の導入が広がった。
乾燥食品を取り巻く環境変化をうまく捉えて販売を伸ばしている背景には、葉タバコ乾燥機で培った技術力や産地に密着した全国12カ所の営業所ネットワークがある。
「水分の多い果物は、従来の食品乾燥機では縮んで焦げたり茶色に変色したりしやすく、きれいに乾燥させるのが難しかった。木原製作所の乾燥機は形や色を保ったまま乾燥させられる」。食品加工を研究する広島県食品工業技術センターの担当者はこう指摘する。
同社の乾燥機の特徴は「温度だけでなく、湿度も制御しながら乾燥させること」(木原利昌専務)だ。熱風で一気に乾燥させると、素材の表面は乾いても内部の水分は残ったまま。内部の水分が抜けるころには表面が乾きすぎて商品価値を失ってしまう。表面と内部がバランス良く乾燥するためには、機内の湿度もコントロールしながら乾燥させる必要がある。
木原製作所はこの技術を日本専売公社(現日本たばこ産業)との共同研究で獲得し、葉タバコ乾燥機で実用化していた。
この技術を食品分野で最初に応用したのが2006年に開発したシイタケ乾燥機だ。機内の湿度を維持するため、シイタケに当てた温風を従来機のようにすべて排出するのではなく、一部を循環させた。その結果、燃費が70%も向上したほか、温湿度の調整を自動にしたことで農家の負担が大幅に軽減され、大ヒット商品になった。
現在の売上高は、多様な食品乾燥機、葉タバコ乾燥機、その他の機器がそれぞれ3分の1を占める。全国各地で食品乾燥機の需要発掘に力を注ぐ一方、海外市場の開拓にも取り組んでおり、今後は「売上高の10%を海外から獲得するのが目標」(木原康博社長)だ。
海外は今年、タイの企業、さらにロシア南部のクラスノダール地方の企業とそれぞれ代理店契約を結んだ。木原社長は「当社の製品で乾燥させたサンプルは、現地の乾燥物とは色などの仕上がりが全く違い訴求力がある」と今後の販売に自信を見せる。
どらいとまと
ほしいいも
どらいいちじく